「のんびり行こうよ」 赤城智美 アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長 第三回
「のんびり行こうよ」は、『アトピー最前線』50号(1999年4月号)~ 68号(2000年11月号)に不定期連載された、アトピー・アレルギー性疾患をもつ子どもの子育て奮戦記です。
第3回 まあるいお尻をながめながら
紙おむつを使っておむつかぶれから解放された、わが子のまあるいお尻を眺めながら、「布おむつを使っているあいだ、どうしてあんなにかぶれたのだろう?」としみじみ考えてみました。
出てくるオシッコそのものに何か問題があるのかな、ドビー織り、綾織りなどの織り方によって違いがあるのかな、それとも洗濯と関係があるのかなと、悩んだあげく、知りたい、知りたい、なぜなぜ病にとりつかれた私は、とりあえず「観察」を試みてみました。
観察というのは、今日はドビー織りのおむつを使った。風呂上がりに麦茶を飲んだ。うんちは何回だった。という事実のメモをひたすら続ける作業でした。2~3日続けると、ちょっとあきてきて、「やみくもな記録はなんだか意味がないようだな」ということも感じてきました。そこで今度はもっともらしく「実験する」ことを思いつき、おむつのすすぎの回数を増やしてみることにしました。当時は二槽式の洗濯機を使っていましたから、めんどうくささも手伝ってすすぎは1回しかしていなかったのですが、それを2回するようにして、元気があるときは3回すすいだりしました。この実験は成功でした。たくさんすすいだときのほうが、「お尻の調子」がよいのです。調査に結果が伴ってくると、がぜんヤル気が出てくるもので、「あら? 単純に洗剤のすすぎ残しのせいだったの? じゃあ洗剤が変わっても結果はおなじなのかな?」という疑問符につき動かされて、今度は合成洗剤、コンパクト洗剤(当時は、現在多く出回っているコンパクト洗剤が出始めたばかりで、めずらしかったのです)、米ぬか石鹸、石鹸の使用比較を「3日連続使用・すすぎ1回」という条件でやってみました。
これは実験の条件設定で失敗してしまいました。最初に合成洗剤の使用からスタートしてしまったので、3日間ですっかり「何をやっても赤いお尻」に逆戻りしてしまったからです。
少しのあいだ反省して実験を中断している間、本をいろいろ読みあさりました。合成洗剤の環境影響や、人体への影響について書かれている本を読んで「知らないっていうことは、幸せが半分になるってことじゃないのかな」と思いました。それほど、新米ママの私は何も知らなかったのです。私は、学生時代に認識論の勉強に膨大な時間を費やしました。人が「知る」という行為は、人にとって何をもたらすかということについて、私はとても多くのことを表現できるようになっていたのに、衣食住の基本的な行為のなかで起こる、環境負荷や人体への悪影響とモノとのかかわりについては驚くほど無知だっのです。
知らないということは表現に結びつかない、行為に結びつかないという基本的なことがらに、少々呆然としながら、それでも今度はしっかりとおむつ洗いの実験を成功させました。「なるほど、石鹸ならかぶれないのね。すすぎは2度がいいみたい」「布の織りにはこだわらなくてもよさそうね」「○○社の粉ミルクを飲んだ日はお尻がかぶれるぞ!」
実験の成果に気をよくして、安全地帯になっている紙おむつのベースチェックもしてみようと、1週間ずつ6社のメーカーの紙おむつの使用比較もやってみました。2社のメーカーのものはお尻が赤くなるぞ! という発見があり、「一般的に大丈夫」と考えるのではなく、「どれがこの子の身体にあうのかな」と考えることは大事だということもわかりました。 ※『アトピー最前線』51号(1999年5月号)より転載
紙おむつを使っておむつかぶれから解放された、わが子のまあるいお尻を眺めながら、「布おむつを使っているあいだ、どうしてあんなにかぶれたのだろう?」としみじみ考えてみました。
出てくるオシッコそのものに何か問題があるのかな、ドビー織り、綾織りなどの織り方によって違いがあるのかな、それとも洗濯と関係があるのかなと、悩んだあげく、知りたい、知りたい、なぜなぜ病にとりつかれた私は、とりあえず「観察」を試みてみました。
観察というのは、今日はドビー織りのおむつを使った。風呂上がりに麦茶を飲んだ。うんちは何回だった。という事実のメモをひたすら続ける作業でした。2~3日続けると、ちょっとあきてきて、「やみくもな記録はなんだか意味がないようだな」ということも感じてきました。そこで今度はもっともらしく「実験する」ことを思いつき、おむつのすすぎの回数を増やしてみることにしました。当時は二槽式の洗濯機を使っていましたから、めんどうくささも手伝ってすすぎは1回しかしていなかったのですが、それを2回するようにして、元気があるときは3回すすいだりしました。この実験は成功でした。たくさんすすいだときのほうが、「お尻の調子」がよいのです。調査に結果が伴ってくると、がぜんヤル気が出てくるもので、「あら? 単純に洗剤のすすぎ残しのせいだったの? じゃあ洗剤が変わっても結果はおなじなのかな?」という疑問符につき動かされて、今度は合成洗剤、コンパクト洗剤(当時は、現在多く出回っているコンパクト洗剤が出始めたばかりで、めずらしかったのです)、米ぬか石鹸、石鹸の使用比較を「3日連続使用・すすぎ1回」という条件でやってみました。
これは実験の条件設定で失敗してしまいました。最初に合成洗剤の使用からスタートしてしまったので、3日間ですっかり「何をやっても赤いお尻」に逆戻りしてしまったからです。
少しのあいだ反省して実験を中断している間、本をいろいろ読みあさりました。合成洗剤の環境影響や、人体への影響について書かれている本を読んで「知らないっていうことは、幸せが半分になるってことじゃないのかな」と思いました。それほど、新米ママの私は何も知らなかったのです。私は、学生時代に認識論の勉強に膨大な時間を費やしました。人が「知る」という行為は、人にとって何をもたらすかということについて、私はとても多くのことを表現できるようになっていたのに、衣食住の基本的な行為のなかで起こる、環境負荷や人体への悪影響とモノとのかかわりについては驚くほど無知だっのです。
知らないということは表現に結びつかない、行為に結びつかないという基本的なことがらに、少々呆然としながら、それでも今度はしっかりとおむつ洗いの実験を成功させました。「なるほど、石鹸ならかぶれないのね。すすぎは2度がいいみたい」「布の織りにはこだわらなくてもよさそうね」「○○社の粉ミルクを飲んだ日はお尻がかぶれるぞ!」
実験の成果に気をよくして、安全地帯になっている紙おむつのベースチェックもしてみようと、1週間ずつ6社のメーカーの紙おむつの使用比較もやってみました。2社のメーカーのものはお尻が赤くなるぞ! という発見があり、「一般的に大丈夫」と考えるのではなく、「どれがこの子の身体にあうのかな」と考えることは大事だということもわかりました。 ※『アトピー最前線』51号(1999年5月号)より転載